2006/12/07

The Value of the Public Domain

The Value of the Public Domainを読んだ感想を書いておく。

この論文の中で繰り返し述べられているのが、私的な利益と社会的価値の区分である。パブリックドメインは社会的な価値を高めるものとして評価される。

では、社会的な価値とは、何なのか。

それは、知識へのスムーズで低コストのアクセスから生まれる様々な派生的価値だ。知識へのアクセスに関するコストには、経済的、法的、時間的、空間的なコストが含まれる。
さらに、派生的価値とは以下の点が挙げられる。

  • パブリックドメインを使った2次利用の機会増大
  • CD購買に対するサンプリング効果
  • 利用者の参加障害を低くする
  • クローズドな状態では生まれなかった価値の発生
  • 競争性の向上
しかし、これらは情報材の非競合性という特殊な特徴に依拠していることを指摘しておくべきだろう。情報財以外の物財は競合性を持っているため、他の人々との共有が巧くいかない場合が多い。そのような状況を“コモンズの悲劇”と呼んでいる。情報財の場合はこの悲劇が起きないことが、非競合性という言葉で表現される。

また、“アンチコモンズの悲劇”と呼ばれる、情報財の所有権を過剰に保護し過ぎると、社会全体のイノベーションが活性化されない自体も検証されている。その研究としてはHellerとEisenbergの"Can Patents Deter Innovation? The Anticommons in Biomedical Research"に詳しい。

今後の課題としては、日本において現在議論されるようなコンテンツ産業が情報財としてコモンズとして開放され、共有されることによって新しい創造性が生まれるのかということを実証することが必要となるのではないだろうか。